【歌詞考察】君の知らない物語・羽川視点

趣味

こんにちは。ざわかける!のざわ(@zw_kakeru)です。
今回は「君の知らない物語」の歌詞の意味について考えていきます。
「化物語」を含む物語シリーズを知っている方でないと何を書いているのかさっぱり理解できない、100パーセント趣味で書かれた記事となっています。

※「化物語」を含む「物語シリーズ」のネタバレを多く含みます。

君の知らない物語

「君の知らない物語(supercell:ボーカルはnagi)」は2009年に発売された曲で、アニメ「化物語」のエンディングテーマとして使用されました。
この曲の歌詞をよく聞いてみると、化物語の登場人物である羽川翼の心情を描いているように感じられます。
化物語の原作及びアニメにも出てくる星座のくだりも歌詞に入ってますし、どう見てもアニメのエンディングテーマとして内容とリンクさせた歌詞になっています。

しかしこの曲を作詞をしたryoさんは、「特定の誰かを想定して作詞したわけではない」と断言しています。
つまりこの曲は羽川翼や戦場ヶ原ひたぎのことを歌っているわけではないのです。
公式から否定されているこの事実は動かしようがないですが、特定の誰かでないなら羽川翼を当てはめることも可能なわけで、そうなった場合どうなるのかを考えてみましょう。

歌詞考察

前提条件として理解しておかなければならないのは

  • 羽川さんは阿良々木くんのことが好きである

ということです。
これは原作小説でもアニメでもはっきりと書かれています。
それを踏まえて早速歌詞を見ていきましょう。

いつもどおりのある日のこと 君は突然立ち上がり言った
「今夜星を見に行こう」

場所は学校の教室(もしくは屋上とか)、時間は放課後かお昼休みでしょうかね。
季節は分かりませんがまあおそらく8月くらいでしょう。
そしてここで言う「君」は誰なのか。
原作で星を見に誘ったのは戦場ヶ原さんだったのでここは戦場ヶ原さんであったとしてもイメージはつきますが、まあ阿良々木くんでしょう。
(ここ以外の「君」は全て阿良々木くんで解釈に相違はないかと思われますし。)
羽川さんが阿良々木くんに星を見に行こう、と誘われているシーンです。その場には当然戦場ヶ原さんもいるんでしょうね。

「たまにはいいこと言うんだね」なんてみんなして言って笑った
明かりもない道を
バカみたいにはしゃいで歩いた
抱え込んだ孤独や不安に 押しつぶされないように

ここからもう夜になっていて、阿良々木くん、戦場ヶ原さん、羽川さんで星を見に行っています。
アニメ化物語15話で、戦場ヶ原さんが阿良々木くんを連れてひたすら山道を歩いていく場面がありましたが、あの道を3人で笑いながら歩いているのでしょう。
羽川さんは「抱え込んだ孤独や不安に 押しつぶされないように」「バカみたいにはしゃいで歩い」ています。
羽川さんはこの場所に来るのは初めてでしょうが、阿良々木くんと戦場ヶ原さんは6月に二人で星を見に来たことがあります。
もちろんそのことは羽川さんも知っているでしょう。
そう考えると、仲の良さを見せつけられてるわけですね。羽川さん的にはとても辛いことでしょう。
(その結果9月にあの苛虎を生み出してしまう、、、だんだんと話が繋がってきます。)
だったらついてくるなよって感じですが、羽川さんはそんなことはしません。彼女は優等生だからです。
少なくとも8月の彼女は、友達の誘いを断るようなことはしないのです。
また、ここでの「抱え込んだ孤独や不安」は、羽川家の家族のしがらみも含まれていると考えることもできますね。
そうすると、羽川さんはやっぱり色んなものを背負ってたんだなあと改めて思います。

真っ暗な世界から見上げた 夜空は星が降るようで
いつからだろう 君のことを 追いかける私がいた
どうかお願い 驚かないで聞いてよ
私のこの想いを

星が見られるスポットに到着しました。
アニメ15話で阿良々木くんと戦場ヶ原さんがたどり着いた場所でしょう。
「星が降るよう」だと言っていることから、羽川さんも素直に星空に感動しています。
その上で、阿良々木くんのことが大好きな気持ちを描かれています。
作中での羽川さんは自分の気持ちを阿良々木くんに隠しています。(実は5月に障り猫がバラしていますが…)
恋愛に関してはかなり奥手で、阿良々木くんにとって自分は「恩人」であり、好きだという感情を持っていないことを知っている羽川さんですが、それでもここでは「私の想いを」「聞いて」ほしいと心の中で願っていますね。

「あれがデネブ、アルタイル、ベガ」
君は指さす夏の大三角 覚えて空を見る
やっと見つけた織姫様 だけどどこだろう彦星様
これじゃひとりぼっち

デネブ、アルタイル、ベガなんて当然羽川さんは知っています。
それでもここで阿良々木くんに教えてもらって空を見上げてます。
(なのでここで「覚えて」と書かれているのは不自然ですね。まあ一ファンの歌詞考察なのでこういう都合が悪い部分はスルーしていきます。)
ベガ(織姫様)は見つかりましたがアルタイル(彦星様)は見つかりません。
ここは夜空を見上げて本当に見つからなかったのかは不明です。
しかし自分の心情と重ね合わせていることは間違いありません。
「織姫様」は自分のこと、「彦星様」は阿良々木くんのことを指しています。
「彦星様」に振り向いてもらえない「織姫様」は「ひとりぼっち」ですね。

楽しげなひとつ隣の君
私は何も言えなくて 本当はずっと君のことを
どこかで分かっていた

「ひとつ隣」の君がとても楽しそうであると。
このシーンがアニメ15話でそうしていたように、寝転がって夜空を見上げているとすると、私(羽川さん)の隣に誰かがいて、そのさらに隣に阿良々木くんがいるということになります。
その間にいるのは誰か、というのは言わずもがな戦場ヶ原さんです。
「君のことを…」の続きには何が来るのでしょうか。
とっくに分かっていたけれど何も言えない羽川さん。
阿良々木くんの中の羽川さんは好きとかそういう概念を超えてしまっている存在です。切ないですねえ。

見つかったって 届きはしない
だめだよ 泣かないで
そう言い聞かせた

隣で阿良々木くんを戦場ヶ原さんが楽しそうに戯れ合っている中、羽川さんは先程見つからなかったアルタイル(彦星様)を見つけました。
「見つけたよ」と声を掛けようとしますが私の声は、あるいは想いは二人には届いていません。
見つかっても結局私は「ひとりぼっち」です。
場面を想像したら分かりますけどこれ、きっついですねえ。羽川さん何でついてきちゃったんだろう。
そりゃあ泣きたくなりますよ。
私も阿良々木くんに構ってもらいたいのに。必死で泣くのを堪えている羽川さんでした。

強がる私は臆病で 興味がないようなふりをしてた
だけど
胸を刺す痛みは増してく
ああそうか 好きになるって こういう事なんだね

「強がる私」、複雑な家庭環境を持ちながらその中でもいい人であらんとする私だったけれど、ここで我慢の限界に達します(あえてこのような書き方をしますが)。
ようやく「好き」という単語が出てきましたね。
苛虎の話とも関連しますが、自分の感情、想いを切り離すんじゃなくて正面から受け止めようとする羽川さんです。

どうしたい? 言ってごらん
心の声がする
君の隣がいい 真実は残酷だ

君の事が「好き」で、「君の隣がいい」んだと。心の声に耳を傾けてはっきり言葉にすることができました(実際に発言はしていないでしょうけど)。
このシーンがこの曲の中で、あるいは物語全シリーズを通して羽川さんの最大の成長ポイントなんですよ。
両親が蒸発して親戚中をたらい回しにされるうちに、親戚(他人)に迷惑をかけてはいけない、完璧な優等生を演じないといけないと考え、あろうことかそれを達成してしまった羽川さん。
そんな中でこういう「無駄」な感情は自分と切り離していました。
それを正面から受け止めるということはもう優等生ではなくなる、弱い人間になるということ。
弱い人間になることが出来たということ。これこそが羽川翼にとっての成長である。
(やっぱり西尾維新は天才ですねぇ。とても好き嫌いが分かれる作家さんらしいですが私は大好きです。)
でもやっぱり、現実は残酷でした。もう遅いんですね。君の隣には私じゃない人がいるから。
遅いんだけれど、こんな事があったおかげで私がここまで成長できたというのも事実です。
まあだからと言って諦められるかというとそれは別問題で、、、と、賢い羽川さんは頭の中で色々な事を渦に巻きつつ「ひとりで」夜空を見上げているのでしょうか。

言わなかった 言えなかった
二度と戻れない
あの夏の日 きらめく星
今でも思い出せるよ

ここで一気に時間が進み、この星を見に行った日の回想シーンとなります。
具体的にどのくらい時間が経っているのかは分かりませんが、大好きだったことが過去のことになってこの時の辛かった感情を少し客観的に見ることができる一方、完全には吹っ切れていないぐらいのタイミングのようです。
私は勝手に、羽川さんが高校を卒業して2年ほど経って、ちょうど世界を一通り見て回ったぐらいの時期かなあと思っています。
結局あの後、心の声を言葉にして伝えることは出来なかったようですね。
言わなかったということをいつまでも覚えているこの感覚は、かなり長い間羽川さん自身を呪い続けていることでしょう。

笑った顔も 怒った顔も
大好きでした おかしいよね わかってたのに
君の知らない 私だけの秘密

そして、こんな風に過去の自分に呪われることを羽川さんは最初から分かっていました。
だったら想いを伝えるべきだったのでしょうけどそれは今だから言えることであって、あの夏の日のあの場所では、それが分かっていても言うことができなかったんです。
「大好きでした」と今は言えるのに。
私がひとりで勝手に恋をして、ひとりで勝手に失恋した。これが「君の知らない物語」なんだと、最後にタイトルが回収されます。
すごく綺麗ですね。

夜を超えて 遠い思い出の君が
指をさす 無邪気な声で

そして最後。
星を見に行ったのはもう遠い思い出となってしまったけれど、阿良々木くんはもう忘れてしまったかもしれないけど、羽川さんはやっぱり鮮明に覚えていますね。

私へ

さて。おまけです。

この「君の知らない物語」にはアンサーソングが存在します。
「私へ」という曲です。

「私へ」は2011年に発売されたsupercellのアルバム「Today Is A Beautiful Day」に収録されています。
知らない方が大半だと思いますのでYoutubeのリンクを貼っておきます。
この「私へ」は長さが2分程度と短く、メロディは「君の知らない物語」と同じものとなっています。

この曲。私は初めて聞いた時にめちゃくちゃ感動しました。
タイトルと歌詞から明らかなように、この曲は「あの夏の日」に失恋した羽川さんがその直後に書いた、数年後あるいは数十年後の未来の自分に向けた手紙の内容となっています。

ハロー こんにちは 久しぶり
私は今何をしていますか 元気ならいいけど
ところであの時の気持ちは 忘れることができたでしょうか
今はまだ無理です

いつの日か もっと歳をとったら
わかる日が来るのでしょうか
本当にこれでよかったのかな
たまに思うことがあるけど
そんな事は言わないでおこう
だって私は知ってるから
自分の物語を

歌詞を見たら分かるように、基本的に失恋して少し時間が経って気持ちが落ち着いてきて、でもまだ吹っ切れていない、そんなタイミングなのでしょう。
時系列としては個人的には先程述べた「君の知らない物語」の後半部分の「あの夏の日」のことを思い出しているシーン、あの時に書いてるんじゃないかと思っています。
大好きだった人に振られた経験のある人なら誰もが共感できる歌詞ですね。
打ちのめされて毎日がとても辛く、時間が解決してくれるのをひたすらに待つ事しかできない日々。
忘れたいけど、忘れることができるってことはわかってるけど、今はまだ無理ですよと。

それ以上に解説するところは無さそうですが、絶対に外せないのが最後の部分です。

だって私は知ってるから
自分の物語を

これでよかったのかな。その答えは絶対に「これでよかった」なのです。
仮に今はそうは思えなかったとしても。

物語シリーズでも屈指の天才、何でもは知らない羽川さんが知っている「自分の物語」、それこそが「君の知らない物語」。
全てを回収するこの最後の歌詞。素晴らしすぎますね。
私は初めて聞いた時鳥肌が立ちました。

おわりに

歌詞考察をしてみましたけど、今回述べた内容は全て一人のファン(私)による何の根拠もないただの妄想です。
公式情報とは無関係ですのでご承知おきください。

「君の知らない物語」「私へ」は共に私の中で最高な曲であり、物語シリーズと一緒に青春を駆け抜けた作品です。
もう私の今後の人生でこんな青春を送ることはないんだろうな。
少し寂しい気もしますが、そんなことは言わないでおきましょう。だって私は

今回は以上です。

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